Brief Communication

COVID-19:SARS-CoV-2オミクロン系統BA.4とBA.5の南アフリカにおける出現

Nature Medicine 28, 9 doi: 10.1038/s41591-022-01911-2

南アフリカでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第4波を推し進めたのは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の「懸念される変異株」であるオミクロン株の3つの系統(BA.1、BA.2およびBA.3)だった。今回我々は、感染の第5波を招いた新しい2つの系統、BA.4とBA.5を明らかにした。BA.4とBA.5のスパイクタンパク質は同じであり、69–70の欠失(アルファ株やBA.1系統には存在する)、L452R(デルタ株に存在する)、F486V、そしてQ493が野生株のアミノ酸であること以外はBA.2と同じである。この2系統の違いは、スパイク領域の外側にだけ存在する。スパイク中の69–70の欠失により、これらの系統はS遺伝子標的不全(SGTF)という代理マーカーによって識別されるが、それは他の変異体がこの特徴をもっていないという背景に基づいている。BA.4とBA.5は急速にBA.2に取って代わり、2022年4月の第1週までに南アフリカで配列が解読された症例の50%以上に達した。多項式ロジスティック回帰モデルを用いて、我々は、南アフリカでのBA.4とBA.5の増殖優位性はそれぞれ、1日当り0.08〔95%信頼区間(CI):0.08–0.09〕と0.10(95%CI:0.09–0.11)であり、BA.2を超えていると推定した。遺伝学的に多様なオミクロン系統の相次ぐ発見は、例えばヒト慢性感染や動物宿主のような別個の保有宿主がこのウイルスのさらなる進化や分散に寄与している可能性を示している。

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