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がん治療:直腸がんでのネオアジュバント療法に対する応答の、ゲノムおよびトランスクリプトームから得られる決定因子

Nature Medicine 28, 8 doi: 10.1038/s41591-022-01930-z

直腸がんの発生率は50歳未満の患者で増加しつつある。局所進行直腸がんの治療法はいまだにネオアジュバント放射線療法、化学療法、外科手術だが、最近得られた証拠では、ネオアジュバント療法に完全奏効を示す患者は外科手術を永久的に避けられることが示唆されている。我々は、ネオアジュバント療法への応答性と相関する因子を明らかにするために、738例の未治療直腸がんのゲノムおよびトランスクリプトームのプロファイルを解析した。APC変異は、中央部直腸や上部直腸よりも下部直腸で頻度が低く、これによって遠位腫瘍がよりアグレッシブな挙動を示すことを説明できるかもしれない。体細胞変化でネオアジュバント療法への応答性に対して治療横断的に有意な関連を示すものはなかったが、KRAS変異はネオアジュバント化学放射線療法に続き、地固め化学療法による治療を受けた患者でのより早い再発と関連していた。IGF2およびL1CAMの過剰発現は、ネオアジュバント療法への応答性低下と関連していた。免疫浸潤のRNA塩基配列解読による推定から、マイクロサテライト安定で免疫学的に「熱い」腫瘍の一部で応答性の上昇と無憎悪生存期間の延長が見られることが明らかになった。

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