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高血圧:世界的な80-80-80血圧目標と心血管転帰のモデル化

Nature Medicine 28, 8 doi: 10.1038/s41591-022-01890-4

心血管疾患(CVD)は世界的に第一位の死亡原因であり、医療システムに対する重大な難問となっている。血圧管理について提唱されている80-80-80目標とは、高血圧症患者の80%がスクリーニングされて診断結果を知っており、高血圧だと知った患者の80%が適切な療法を指定され、その結果治療を受けているうちの80%がガイドラインで規定された血圧目標を達成するというものである。本研究では、この80-80-80目標を設定して集団レベルで血圧管理が改善された場合の影響を解析した。我々は、CVDの割合、血圧レベル、高血圧介入実施率に関する国レベルの証拠を用いて、CVDの集団モデルを開発した。現実的な実施条件下では、ほとんどの国で2040年までに80-80-80目標が達成され、全死因死亡率が4~7%低下し(2022年から2050年にかけて7600万~1億3000万件の死亡が防がれる)、人口増加と老化から予測されるCVDの増加を遅らせた(1億1000万~2億の症例が回避される)。CVDの症例と死亡の低下は人口の多い中所得国がその大半を占めると予想されるが、疾患率の最大の低下は低所得国で起こると考えられる。

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