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パンデミックが後押しした健康革新の4つの分野

Nature Medicine 28, 7 doi: 10.1038/s41591-022-01844-w

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対するワクチンが1年足らずで作製されたことは、技術的・医学的なブレークスルーだった。今回のパンデミック(世界的大流行)は、また別の科学分野の進歩にも一役買っている。(1)ウエアラブルデータ。米国では1億人以上の人がウエアラブルデバイスを持っており、バイタルサインを追跡できる。こうしたデータは、パンデミック時以外にも、個別化医療や地域全体の疾病監視など、さまざま用途に利用できる。(2)行動的介入。無作為化比較試験は医学研究の基礎だが、行動の変化が健康に及ぼす影響についての研究にはあまり使われてこなかった。今回のパンデミックで、マスクの着用に関する試験など、この問題に関して大規模な臨床試験が可能であることが示された。(3)ゲノムの監視。オミクロン株などの新しい変異体の発見と追跡には、ゲノム塩基配列解読が不可欠となる。SARS-CoV-2ウイルスでは、幸いにも既存のインフルエンザウイルスゲノムのシステムを転用できた。このようなデータベースは他の疾患でも利用価値が高いだろう。(4)創薬。創薬には長い時間と費用がかかるが、今回のパンデミック(世界的大流行)では抗ウイルス薬の発見にDNAコード化化合物ライブラリーが活用された。こうしたライブラリーは、低分子医薬品の開発に使うこともできる。

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