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脳科学:依存症を解消する脳損傷を共通するヒト脳回路にマッピングする

Nature Medicine 28, 6 doi: 10.1038/s41591-022-01834-y

薬物依存症は公衆衛生上の重大問題であり、新たな治療法が緊急に必要とされている。稀ではあるが、局所的な脳損傷が依存症の寛解につながることがある。このような症例は、ニューロモデュレーション療法のための治療標的を見つけ出すのに使える可能性がある。今回我々は、局所的な脳損傷を受けた際に喫煙依存症だった患者からなる2つのコホートで解析を行った(コホート1:n = 67、コホート2:n = 62)。損傷部位を脳アトラスにマッピングし、ヒトコネクトームデータを用いて各損傷部位と機能的に接続した脳ネットワークを計算して(n = 1000)、依存症の寛解との関連が突き止められた。局所的脳損傷とアルコール依存症スコアを持つ患者の独立したコホート(n = 186)を用いて、一般化の可能性が評価された。特異性は、他の37の神経心理学的変数との比較によって評価された。喫煙依存症を解消させる損傷は多数のさまざまな脳部位で見られたが、脳の接続性の特異的なパターンによって特徴付けられた。このパターンには、背側帯状皮質、前頭前皮質および島皮質に対する正の接続と、内側前頭前皮質と側頭皮質に対する負の接続が含まれていた。この回路は、互いに無関係な損傷コホートの全てにわたって再現され、アルコール依存症リスクの低下と関連していて、依存症のメトリクスに特異的だった。依存症寛解に対する接続性のプロファイルと最もよくマッチしたハブは、傍帯状回、左前頭弁蓋および内側前頭極皮質だった。我々は、依存症を解消する脳損傷は、特定のヒト脳回路にマッピングされ、この回路のハブはニューロモデュレーション療法に対する検証可能な標的となると考えている。

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