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糖尿病:ドナーとレシピエントの多遺伝子リスクスコアは移植後糖尿病のリスクに影響する

Nature Medicine 28, 5 doi: 10.1038/s41591-022-01758-7

移植後糖尿病(PTDM)は、同種移植片やレシピエントの寿命を短縮する。多遺伝子リスクスコア(PRS)は、2型糖尿病(T2D)発症リスクの上昇とロバストに関連することが示されている。今回我々は、肝臓レシピエント(n = 1581)とそのドナー(n = 1555)、および腎臓レシピエント(n = 2062)とそのドナー(n=533)で、PTDMのT2D PRSとの関連について調べた。レシピエントのT2D PRSは、移植前のT2DやPTDM発症と関連することが明らかになった。肝臓ドナーのT2D PRSは、PTDMの発症に対する独立のリスク因子だったが、腎臓ドナーのT2D PRSはこのようなリスク因子ではなかった。肝臓ドナーとレシピエントを組み合わせたT2D PRSを含めたモデルは、臨床的特徴のみを含めたモデルに比べて、PTDMの予測を有意に改善した。組み合わせたT2D PRSを含めたモデルの曲線下面積(AUC)は67.6%〔95%信頼区間(CI)64.1–71.1%〕だったのに対して、臨床的特徴のみのモデルのAUCは62.3%(95%CI 58.8–65.8%)だった(P = 0.0001)。ドナーとレシピエントのT2D PRSを組み合わせた最も高い五分位数に入る肝臓レシピエントはPTDMリスクが最も高く、一番低い五分位数のレシピエントと比較したオッズ比は3.22(95%CI 2.07–5.00)(P = 1.92 × 10−7)だった。結論として、T2D PRSによってPTDMのリスクが高い移植候補者を見つけ出すことは可能であり、これは糖尿病の先制管理やドナー選択のために必要だと思われる。

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