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がん治療:進行性黒色腫での免疫チェックポイント阻害剤への応答とクロスコホート腸マイクロバイオームとの関連

Nature Medicine 28, 3 doi: 10.1038/s41591-022-01695-5

腸マイクロバイオームの構成は免疫チェックポイント阻害剤(ICI)療法に対する臨床応答と関連付けられているが、ICIの臨床効果と関連する特定のマイクロバイオーム特性については一致した見解は得られていない。我々は、ICI未施行の進行性皮膚黒色腫患者からなる5つの観察コホート(n = 165)から集められたICI開始前の糞便サンプルのショットガンメタゲノム塩基配列解読を行った。このデータセットを、これまでに公表された研究の147のメタゲノムサンプルと統合したところ、腸マイクロバイオームはICIに対する応答と関連するが、コホート依存的な関連であることが分かった。機械学習解析によって、マイクロバイオームとICIによる全奏効率(ORR)および無増悪生存期間(PFS)との関係は確認されたが、コホート間でのマイクロバイオームに基づくシグネチャーの再現性は限られたものであることも明らかになった。そして、レスポンダーと関連するBifidobacterium pseudocatenulatumRoseburia spp.、Akkermansia muciniphilaなどの一連の細菌種が明らかになったが、複数の研究間で完全に一貫性のあるバイオマーカーと見なすことができる単一細菌種はなかった。まとめると、ICIの奏功性におけるヒト腸マイクロバイオームの役割は、従来考えられていたよりも複雑であるように見え、多様な微生物種が治療応答者と非応答者に単に存在するかしないかという問題を超えている。これからの研究では、より大きなサンプルサイズを採用し、治療経過中の腸マイクロバイオームと臨床要因との間の複雑な相互作用を考慮するべきだろう。

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