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肥満:ヒトで見られるセロトニン2C受容体機能喪失バリアントは肥満および不適応行動に関連する

Nature Medicine 28, 12 doi: 10.1038/s41591-022-02106-5

セロトニンの再取り込み阻害剤と受容体アゴニストは、肥満や不安、うつ病の治療に使用されている。我々は、セロトニン2C受容体(5-HT2CR)の体重調節と行動における役割を調べた。重度肥満の2548人と肥満でない対照1117人のエキソーム塩基配列解読を用いて、血縁関係のない19人(男性3人と女性16人)で5-HT2CRをコードする遺伝子(HTR2C)の13のまれなバリアントを見つけ出した。このうち11個のバリアントはHEK293細胞で機能喪失を引き起こした。これらのバリアントの保有者は全て、過食症とある程度の不適応行動を示した。HTR2Cのヒト機能喪失バリアントを1つ持つノックイン雄マウスは肥満を発症し、社会的探索行動が減少した。同じバリアントをヘテロ接合で持つ雌マウスは同様の異常を示したが、重症度は低下していた。我々は5-HT2CRアゴニストのロルカセリンを使って、ノックインマウスでは食欲を抑制するプロオピオメラノコルチンニューロンの脱分極が障害されていることを明らかにした。結論として、5-HT2CRは、ヒトの食欲、体重、行動の調節に関与していることが実証された。今回の知見は、メラノコルチン受容体アゴニストが、HTR2Cバリアントの保有者で重度肥満の治療に効果を発揮する可能性を示唆している。我々は、小児期発症の重度肥満の遺伝子診断パネルにHTR2Cを含めるべきであると考えている。

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