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身体活動量:ウエアラブルデバイスで測定された日常生活中の断続的な高強度身体活動と死亡率との関連

Nature Medicine 28, 12 doi: 10.1038/s41591-022-02100-x

ウエアラブルデバイスは、余暇の運動として行われる身体活動ではなく、日常生活の間に断続的に行われる短時間の激しい身体活動(VILPA:vigorous intermittent lifestyle physical activity)のような、これまで調べられてこなかった運動パターンを捕捉することができる。今回我々は、VILPAと総死亡率、心血管疾患(CVD)死亡率、がん死亡率との関連を、英国バイオバンクの運動習慣のない2万5241人(平均年齢61.8歳、女性1万4178人/男性1万1063人)で調べた。平均6.9年の追跡期間中に852人が死亡し、VILPAはこれら3つの転帰の全てとほぼ線形に逆相関していた。長さを標準化したVILPAを1日当たり3回というサンプル中央値VILPA頻度で行った参加者(1回の長さは1分もしくは2分)では、全死亡率とがんによる死亡のリスクは、VILPAを行わなかった参加者と比較して38〜40%低下し、CVDによる死亡リスクは48〜49%低下した。さらに、1日当たり4.4分というサンプル中央値のVILPA持続時間は、全死因による死亡とがんによる死亡リスクの26〜30%の低下、CVDによる死亡リスクの32〜34%の低下と関連していた。また、激しい身体活動(VPA)について前述の解析を繰り返したところ、運動をしている英国バイオバンク参加者6万2344人(1552人が死亡、女性3万5290人/男性2万7054人)で同様の結果が得られた。これらの結果は、短時間の激しい非運動性身体活動が、死亡率の大幅な低下と関連していることを示している。運動習慣のない場合に行われるVILPAは、運動習慣のある場合のVPAと同じような効果を引き出すように見えることから、VILPAは適切な身体活動の対象となる可能性があり、運動が不可能または運動の意思がない場合の対象として特に適しているだろう。

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