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がん治療:黒色腫患者での免疫チェックポイント遮断に対するIL7の遺伝的変異と毒性

Nature Medicine 28, 12 doi: 10.1038/s41591-022-02095-5

免疫チェックポイント阻害剤(ICB)による治療は、免疫関連有害事象(irAE)を誘発することが多く、かなりの数の疾患の原因となる。黒色腫に対するICB投与を受けている214名の患者のうちで、IL7のイントロンに存在するrs16906115のマイナー対立遺伝子を持つ患者に重篤なirAEのリスク上昇が観察された。rs16906115は、患者IL7に対するB細胞特異的な発現量的形質遺伝子座(eQTL)を形成していることを我々は見いだした。このリスク対立遺伝子を持つ患者は治療前のB細胞でのIL7発現が増加しており、これは独立した形でirAEのリスクや多様な免疫グロブリンの発現、B細胞受容体のさらなる変異と関連していることが明らかとなった。T細胞の発生におけるIL-7の役割と一致して、対立遺伝子を持つ患者は、ICBによって誘導される別のCD8+ T細胞サブセットの応答や、T細胞クローナリティーの偏りが見られ、大型クローンによるレパトア占有の割合が大きいことが分かった。また、TCGAデータの解析によって、リスク対立遺伝子を持つ患者では黒色腫に対する生存率が独立して高まることが示唆された。これらの知見は、黒色腫でのICBに対する反応性や毒性と臨床転帰の両方にB細胞およびIL-7が担う重要な役割を明らかにしている。

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