News Feature

イヌの疾患に関する知識を人間の治療に役立てる

Nature Medicine 28, 10 doi: 10.1038/s41591-022-02025-5

これまで、疾患研究のモデル生物としては主としてマウスや酵母などが使われてきたが、そうした場合の臨床試験の失敗率は高い。イヌはヒトと同じ環境で暮らし、ヒトと同じ病気の多くに罹患するためモデルに適している。イヌは寿命が短く、腫瘍の発症、転移も早期に起こるので薬物の効果をより迅速に評価できる。イヌの「純血種」は近親交配とほぼ同じ意味であり、遺伝的全体像がより均質であれば、がんの原因遺伝子の特定も容易になる。また、シリコンタグを首輪に付けるなどして環境リスクを評価することもできる。ペットを助けたい飼い主は臨床試験にイヌを参加させることに熱心であり、イヌでの試験は倫理的なハードルが低いため前臨床試験に最適だ。たとえヒトでは失敗に終わっても、イヌ用の新薬が開発できれば、それも成功と言える。獣医学とヒト医学の連携は腫瘍学で最も進んでいるが、加齢研究、遺伝性眼疾患、神経学的疾患など、他の医学分野からも関心が寄せられている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度