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大腸がん:RNF43の変異はBRAFV600E転移性大腸がんでの抗BRAF/EGFR併用療法に対する応答を予測する

Nature Medicine 28, 10 doi: 10.1038/s41591-022-01976-z

抗BRAF/EGFR療法は、転移性BRAFV600E大腸がん(mCRCBRAF-V600E)の治療に対して最近承認された。しかし、患者の大部分では奏効が見られず、治療応答性を決定する分子的要因の特定が必要であることが強調されている。今回我々は、抗BRAF/EGFR療法を受けたmCRCBRAF-V600E患者の発見コホートでの全エキソーム塩基配列解読を用いて、WNTの負の調節因子であるRNF43の不活性化変異が、マイクロサテライト安定性(MSS)腫瘍患者の奏効率と生存転帰の改善を予測することを見いだした。独立した検証コホートの解析により、MSS-RNF43mutated腫瘍とMSS-RNF43wild-type腫瘍の患者の間では、臨床利益の予測(72.7%対30.8%、P = 0.03)に加えて、無増悪生存期間の延長〔ハザード比(HR):0.30、95%信頼区間(CI):0.12–0.75、P = 0.01〕および全生存率の延長(HR:0.26、95% CI:0.10–0.71、P = 0.008)と、RNF43変異の関連性が確認された。マイクロサテライト不安定性腫瘍は、p.G659fsをコードする野生型に似たRNF43遺伝子型を例外なく有しており、中間的な応答プロファイルを示した。抗BRAF標的療法を受けていないMSS-mCRCBRAF-V600E腫瘍患者の対照コホートでは、RNF43変異と患者転帰の間に関連性は認められなかった。まとめると、我々の知見は、MAPK経路とWNT経路の間には抗BRAF/EGFR療法の抗腫瘍活性を調整している可能性を持つクロストークがあることを示唆しており、このような患者の臨床管理を最適化するための予測バイオマーカーを明らかにしている。

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