Review Article

COVID-19:SARS-CoV-2監視の次の局面:リアルタイム分子疫学

Nature Medicine 27, 9 doi: 10.1038/s41591-021-01472-w

現在進行中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック(世界的大流行)は、全ゲノム塩基配列解読がリアルタイムに近い形で行われた初めての例であり、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の200万を超える全ゲノム塩基配列が作成され、GISAIDプラットフォームを介して共有された。このゲノム情報資源は、今回のパンデミックを通して公衆衛生に関連する意思決定の情報源となり、またウイルスの毒性、病原性、宿主域、あるいは免疫回避やSARS-CoV-2の診断や治療法の有効性に影響を及ぼす可能性のある変異の検出を可能にした。しかし、遺伝子型からの表現型予測は、ゲノム塩基配列解読のような速いペースで行うことはできない。このパンデミックの次の局面に備えるためには、世界的なゲノム監視と新規変異株の表現型の特徴のタイムリーな評価を結び付けるための体系的な研究が必要であり、それは診断法、ワクチン、治療法、非薬理学的介入法の開発や更新を支えるものとなろう。本稿では、重要なウイルス変異と変異株に関する現在の知見をまとめ、進化するパンデミックを監視する次の局面に目を向ける。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度