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がん治療:進行した鼻咽頭がんでの第一選択治療としてのトリパリマブもしくはプラセボと化学療法の組み合わせ:多施設無作為化第3相試験

Nature Medicine 27, 9 doi: 10.1038/s41591-021-01444-0

ゲムシタビン-シスプラチン(GP)化学療法は、再発性あるいは転移性の鼻咽頭がん(RM-NPC)に対する標準的な第一選択となる全身性の治療法である。今回報告する国際的な二重盲検第3相試験(試験登録番号NCT03581786)では、再発性あるいは転移性疾患に対してこれまでに化学療法治療歴のないRM-NPC患者289人を、GP+トリパリマブ[ヒトPD-1(programmed death-1)に対するモノクローナル抗体]群、あるいはGP+プラセボ群のどちらかに無作為に割り付けて(1/1)、3週間ごとに最大6サイクルの治療を行い、その後トリパリマブあるいはプラセボによる単剤療法を行った。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、RECIST v.1.1に従って盲検化された独立した審査委員会によって評価された。あらかじめ定めた中間PFS解析では、トリパリマブ群で、プラセボ群と比較してPFSの有意な改善が検出された。PFS中央値はトリパリマブ群11.7か月に対してプラセボ群8.0か月{ハザード比(HR)= 0.52[95%信頼区間(CI):0.36~0.74]、P = 0.0003}であった。PD-L1発現などのPFSの改善は、主要なサブグループにわたって観察された。2021年2月18日の時点で、トリパリマブ群では、プラセボ群と比較して死亡リスクの40%低下が観察された[HR = 0.603(95% CI:0.364~0.997)]。グレード3以上の有害事象(AE)の発生率(89.0%対89.5%)、トリパリマブ/プラセボの中止につながるAEの発生率(7.5%対4.9%)、致死的なAEの発生率(2.7%対2.8%)は2群間で同様であった。しかし、免疫関連AE(39.7%対18.9%)およびグレード3以上の輸注反応(7.5%対0.7%)は、トリパリマブ群でより高頻度であった。結論として、RM-NPC患者の第一選択治療としてGP化学療法へのトリパリマブの追加は、GP単独に比べて優れたPFSをもたらし、安全性プロファイルは管理可能であった。

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