Brief Communication

COVID-19:ワクチン未接種者に対するSARS-CoV-2ワクチンの保護作用に関する地域社会レベルでの証拠

Nature Medicine 27, 8 doi: 10.1038/s41591-021-01407-5

集団ワクチン接種は、ワクチン既接種者をこの疾患から保護し、ワクチン未接種者への伝播の可能性を低下させると考えられるため、現在進行中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック(世界的大流行)を抑制する可能性がある。広く接種が行われているファイザー社/ビオンテック社製ワクチンBNT162bはCOVID-19を予防するだけでなく、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染予防にも高い有効性があることから、集団レベルの効果があると考えられており、このことは疾患根絶に極めて重要である。しかし、想定されるこの影響は観察が難しく、空間的・時間的な変動の激しい流行動態を考慮すれば特に困難といえる。今回我々は、地理的に範囲が決められている177の地域社会からなる大規模集団で、ワクチン接種が迅速に展開されている期間中に収集されたワクチン接種記録と検査結果の解析を行った。その結果、個々の地域社会でのワクチン接種率は、ワクチン接種を受けていない16歳未満のコホートでのその後の感染の大幅な減少と関連付けられることを見いだした。平均すると、一定の集団内でワクチン既接種者の20パーセントポイントごとに、ワクチン未接種集団に対する検査陽性の割合は、約2分の1に低下した。これらの結果は、ワクチン接種は既接種者を保護するだけでなく、同じ地域社会内のワクチン未接種者にも干渉的防御効果を及ぼすことの、観察に基づいた証拠である。

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