Brief Communication

COVID-19:BNT162b2ワクチン接種後の大腸がん患者で起こったサイトカイン放出症候群

Nature Medicine 27, 8 doi: 10.1038/s41591-021-01387-6

がん患者は現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン接種プログラムで世界的に優先接種の対象となっており、このプログラムにはmRNAワクチン投与が含まれている。サイトカイン放出症候群(CRS)はmRNAワクチンに関してはまだ報告されていないが、これは免疫チェックポイント阻害剤による極めてまれな免疫関連有害事象である。本論文では、長期にわたって抗PD-1単剤療法を受けていた大腸がん患者で、ファイザー社/ビオンテック社製mRNA COVID-19ワクチンBNT162b2(トジナメラン)接種の5日後に起こったCRSの症例を示す。CRS発症の証拠は、炎症マーカーの上昇、血小板減少、サイトカインレベルの上昇(IFN-γ/IL-2R/IL-18/IL-16/IL-10)およびステロイド応答性であった。この症例でのワクチン接種とCRSとの診断が時間的に接近していることから、CRSはワクチン関連有害事象であり、抗PD-1遮断がその一因だろうと考えられた。まとめると、がん患者でのさらなる前向きファーマコビジランスのデータが必要だが、ベネフィット–リスクプロファイルはがん患者でのCOVID-19ワクチン接種を依然として強力に支持している。

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