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クローン性造血:HIVは高齢者での加齢に関係付けられたクローン性造血のリスク増加と関連している

Nature Medicine 27, 6 doi: 10.1038/s41591-021-01357-y

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者は、特定の併存症(特に心血管疾患やがん)のリスクが、非感染者よりも高い。加齢に関係するクローン性造血(CH)に関連付けられた体細胞変異が、一般集団では同じような併存症と結び付けられているという観察結果を踏まえて、我々は、HIV感染者ではCHがより多いのではないかと考えた。この問題に取り組むために、我々は前向きコホート研究であるARCHIVE研究(NCT04641013)を立ち上げた。この研究には、オーストラリアで集められた55歳以上のHIV陽性者220人とHIV陰性者226人が参加している。人口学的特性、臨床データ、および末梢血の収集によってCH変異の有無が評価され、CHの臨床的続発症に対するリスク因子候補が明らかにされた。446人の参加者中100人(22.4%)で、合計で135のCH変異が見つかった。全体でも、あるいは年齢グループ全てで見ても、CHはHIV陰性の参加者よりもHIV陽性の参加者で多く見られ(16.8%対28.2%、P = 0.004)、HIV感染者でCHが見られる場合の調整オッズ比は2.16だった(95%信頼区間 1.34~3.48、P = 0.002)。全体で最も多く変異を起こしていた遺伝子は、DNMT3A(47.4%)、TET2(20.0%)、ASXL1(13.3%)だった。CHとHIV感染は、炎症に関連する血液のパラメーターやバイオマーカーの上昇と、それぞれ独立に関連していた。これらのデータは、HIVに関連した慢性感染症や炎症という状況下では、CHの出現に選択的優位性があることを示唆している。

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