Article

COVID-19:若齢および高齢の中国人成人でのSARS-CoV-2 BNT162b1 mRNAワクチンの安全性と免疫原性:無作為化プラセボ対照二重盲検第1相試験

Nature Medicine 27, 6 doi: 10.1038/s41591-021-01330-9

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のパンデミック(世界的大流行)を終息させるには、有効性の高いワクチンが必要である。今回我々は、144人の健康なSARS-CoV-2未感染の中国人参加者において、ワクチン候補BNT162b1についての現在進行中の単一施設(中国、江蘇省)並行群間二重盲検第1相試験(ChiCTR2000034825)の安全性、耐容性、免疫原性に関する予備的データの評価を行った。参加者は無作為に1:1:1に分けられ、BNT162b1の10 μgまたは30 μg、もしくはプラセボの第1回目の接種を受け、次いで21日間の間隔を置いてブースト接種を受けた。各治療群に対して若齢成人(18〜55歳)と高齢成人(65〜85歳)が均等に割り付けられた。BNT162b1は、SARS-CoV-2のスパイク糖タンパク質受容体結合ドメイン(RBD)をコードし、現在臨床試験が行われている複数のメッセンジャーRNAベースワクチン候補の1つである。局所反応や全身的事象はおおむね用量依存的であり、一過的で軽度から中等度であった。唯一見られたグレード3有害事象は発熱であった。BNT162b1は若齢および高齢の中国人成人の両方に、RBDを含むペプチドプールに対する強力なインターフェロンγ T細胞応答を誘導し、幾何平均中和力価はSARS-CoV-2ポリメラーゼPCRテストで陽性判定後、最短で14日目に採取された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)回復期患者の一連の血清の2.1倍(若年参加者)と1.3倍(高齢参加者)に達した。まとめると、BNT162b1は、アジア人集団で許容できる安全性プロファイルを示し、高レベルの液性応答とT細胞性応答を生じることが分かった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度