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腸マイクロバイオーム:高深度表現型解析された1098人のマイクロバイオームと宿主代謝や食習慣とのつながり

Nature Medicine 27, 2 doi: 10.1038/s41591-020-01183-8

腸マイクロバイオームは食餌によって形作られ、宿主の代謝に影響を及ぼす。しかし、このような関連は複雑であり、個人ごとに独特である可能性がある。今回我々は、PREDICT1(Personalised Responses to Dietary Composition Trial)研究に登録された1098人から採取した1203の腸マイクロバイオームについて、高深度メタゲノム塩基配列解読を行った。これらの被検者については、食餌についての長期的な詳細情報と、絶食時や同じ食餌をとった後の心臓代謝血液マーカーに関する数百の測定値が利用可能である。微生物と特定の栄養素、食品、食品群、一般的な食餌指標との間に、多数の有意な関連が見つかった。こうした関連の形成は、健康的で植物性の多様な食品を摂取していた場合に、特に促進された。肥満の微生物バイオマーカーは、公開されている外部の複数コホートでも再現性があり、心血管疾患リスクの指標である循環血中代謝物と一致していた。Prevotella copriBlastocystis spp.のような一部の微生物は、食後の好ましいグルコース代謝の指標となるが、全体的なマイクロバイオーム組成は、絶食時および食後の高血糖や高脂血症、炎症に関する指標など、多数の心臓代謝血液マーカーに対する予測となった。健康な食習慣と関連する腸内微生物群は、好ましい心臓代謝マーカーや食後マーカーと関連する微生物群と重なっていたことから、我々の大規模資料は、腸マイクロバイオームを、臨床的に明確な疾患のない個人での一般化可能な健康レベルに階層分けできる可能性があることが示された。

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