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COVID-19:日本での学校閉鎖には2020年春のCOVID-19の拡大に対する因果効果は見られない

Nature Medicine 27, 12 doi: 10.1038/s41591-021-01571-8

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策の中で、学校閉鎖は最もよく行われる非薬物的介入の1つである。しかし、学校閉鎖は学習不足をはじめとする大きな代償をもたらす。厳密な因果推論がないこともあり、これまでの研究では、市中感染の軽減を目的としたこれらの政策の有効性について、一致した結論が得られていない。今回我々は、日本での学校閉鎖が、2020年春の新型コロナウイルス感染症の蔓延抑制にもたらした因果効果を評価した。学校閉鎖をしなかった市区町村に対して、潜在的交絡因子が最も類似していて、かつ学校閉鎖をした市区町村をあてがうことで、学校閉鎖をしていない市区町村が、学校閉鎖をした場合の症例数を推定することができる。その結果、日本での学校閉鎖がCOVID-19の蔓延を抑制したという証拠は見つからなかった。子どもや親に負の影響がある可能性を考えると、本研究で得られた消極的な結果は、学校閉鎖に関する方針を再検討すべきであることを示唆している。

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