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COVID-19:SARS-CoV-2の地域社会での発生率や死亡率に対する開校モデルの影響

Nature Medicine 27, 12 doi: 10.1038/s41591-021-01563-8

従来型およびハイブリッド型の対面授業は、完全オンライン授業と比べた場合、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の地域社会での発生率にどのように影響するかは知られていない。我々は国政調査区分によって層別化された全米にわたる後ろ向きコホートを用いて、学校が始まってからの12週間(2020年7~9月、デルタ変異株が主流となる以前)に、授業方式がSARS-CoV-2症例に与えた影響を評価するイベントスタディーを行った。学校開校以前の罹患率の傾向、州レベルの軽減対策、地域社会の感染防止活動のレベルを調整した後では、米国のほとんどの地域で、対面授業を行った郡とリモート授業方式をとった郡とでSARS-CoV-2の発生率に統計学的な差はなかった。南部では、ハイブリッド型もしくは従来型の授業方式で学校が始まった郡で、リモート授業方式の群と比べて、週ごとの症例の有意で持続的な増加が認められた。週ごとの影響は、10万人当たり9.8症例[95%信頼区間(CI)は2.7~16.1]から21.3症例(95%CI は 9.9~32.7)の増大であり、この値は、0~9歳児および成人での症例増加によるものである。学校は、地域社会のSARS-CoV-2感染症例を大幅に増加させることなく、対面授業を再開できるが、その影響は不確定である。今回観察された地域差の原因をもっと十分に解明するには、さらなる研究が必要である。

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