Perspective

多遺伝子リスクスコア:多遺伝子リスクスコア(PRS)の臨床での責任ある使用:考えられる利益、リスクとギャップ

Nature Medicine 27, 11 doi: 10.1038/s41591-021-01549-6

多遺伝子リスクスコア(PRS)は、ヒトゲノム全体にわたる多数の遺伝子変異が持つ小さな影響を統合して、疾患リスクを、また個人の場合は疾患関連形質のリスクを推定する。PRSについて予想される利益には、一次疾患予防の費用効率の改善、診断精度の向上、薬剤を処方する際の精密度の改善などが含まれる。しかし、これらは、PRSの予測精度に潜む不確実性やバイアスのような予想されるリスクに対してだけでなく、医療行為や一般社会でのPRSに対する誤解や誤用の可能性に対しても慎重に検討されなければならない。ベストプラクティス(最善の実践)、リスクコミュニケーション、規制の枠組みにおけるギャップなどの主要な問題に取り組むことで、ヒトの健康を改善するためにPRSを責任を持って使用することが可能になる。今回、遺伝学、法律、倫理学、行動科学などの専門家で構成された学際的なグループであるICDA(International Common Disease Alliance)のPRSタスクフォースが、PRS研究の現状について包括的なまとめや、PRSが臨床で広く使用されるようになるにつれて生じる要求と難問について示す最近の研究を取り上げて論じる。

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