Article

血液悪性腫瘍:リンパ系と骨髄系のクローン性造血の区別

Nature Medicine 27, 11 doi: 10.1038/s41591-021-01521-4

クローン性造血(CH)は、血液細胞のクローン性増殖を促進する体細胞性ゲノム変化によって引き起こされる。血液悪性腫瘍と関連する体細胞遺伝子変異は健常者の造血細胞で検出されていて、CHIP(CH of indeterminate potential)と呼ばれており、骨髄系悪性腫瘍に関連付けられてきたが、モザイク染色体変化(mCA)はリンパ系悪性腫瘍に関連付けられてきた。我々は、英国バイオバンクとMass General Brighamバイオバンクのコホート中の血液悪性腫瘍の病歴のない被検者5万5383人についてCHIP、また42万969人について常染色体mCAの解析を行った。骨髄系およびリンパ系の体細胞性遺伝子変異に加え、骨髄系およびリンパ系のmCAが識別され、この両方が細胞系譜特異的な血液悪性腫瘍のリスクと関連することが分かった。さらに、体細胞性変化と末梢血球算定のパラメーターの統合解析を行い、骨髄系およびリンパ系の起こりやすい悪性腫瘍のリスクを層別化した。これらの遺伝的変化は、臨床的な塩基配列解読パネルで容易に検出でき、また、血球計算パラメーターと共に用いることで、血液悪性腫瘍を発症するリスクが高い患者を特定できる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度