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老化:肥満および高インスリン血症は、細胞周期プログラムと老化を活性化させる

Nature Medicine 27, 11 doi: 10.1038/s41591-021-01501-8

肥満は、糖尿病、心血管疾患、がんなどの多くの慢性疾患の重要な要因と考えられている。肥満で見られる脂肪組織の拡大は、脂肪細胞前駆細胞の分化と成熟脂肪細胞のサイズの両方の増大によるものである。しかし、脂肪細胞は分裂、すなわち細胞周期へ進入することはできないと考えられている。我々は、成熟ヒト脂肪細胞では、予想外なことに、活性化した細胞周期プログラムの存在を示す遺伝子シグネチャーおよびタンパク質シグネチャーが見られることを明らかにした。脂肪細胞の細胞周期の進行は、肥満と高インスリン血症に関連しており、同時に細胞と核のサイズ、核のDNA含量の増加が起こる。しかし、in vitroもしくはヒトでの慢性高インスリン血症は、その後の細胞周期からの離脱と関連していて、脂肪細胞では早期老化を示すトランスクリプトームプロファイルおよび分泌プロファイルが見られるようになる。早期老化は、ストレス誘発性組織機能障害の重要なメディエーターであることが急速に認識されつつある。我々は、脂肪細胞が細胞周期プログラムを活性化し得ることを実証し、それによって、成熟ヒト脂肪細胞が老化する機構の1つを明らかにした。また、我々は、メトホルミンを使い脂肪細胞の細胞周期プログラムを標的とすれば、脂肪細胞の老化と肥満に関連する脂肪組織の炎症に影響を及ぼせることも明らかにした。

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