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がん免疫療法:肝転移はマクロファージによるT細胞排除を介して免疫療法の効果を抑制する

Nature Medicine 27, 1 doi: 10.1038/s41591-020-1131-x

転移はがんによる死亡の主な原因であり、がんは肝臓へ転移する頻度が高い。肝臓の免疫寛容機構ががんの転帰に関わっているかどうかは明らかになっていない。我々は、患者および前臨床モデルにおいて、肝転移が免疫療法の効果を全身性に減弱させることを報告する。肝転移を有する患者では、他の確立された応答バイオマーカーとは無関係に、免疫療法の効果が制限される。多数のマウスモデルで、肝転移が活性化したCD8+ T細胞を体循環から吸い上げてしまうことが分かった。肝臓内では、活性化した抗原特異的Fas+CD8+ T細胞はFasL+CD11b+F4/80+単球由来のマクロファージと結合した後にアポトーシスを起こす。その結果として、肝転移は前臨床モデルで全身性にT細胞が非常に少ない状態、つまり免疫砂漠(immune desert)を作り出す。同様に、肝転移を有する患者では末梢のT細胞数が減少しており、腫瘍浸潤性のT細胞の多様性や機能が低下していた。前臨床モデルでは、肝臓に限局した放射線治療は、免疫抑制性の肝臓マクロファージを排除し、肝臓のT細胞の生存率を高め、肝臓によるT細胞の吸い上げを減少させる。従って、肝転移は宿主の末梢寛容機構を乗っ取って、CD8+ T細胞を枯渇させることにより免疫療法への抵抗性の獲得を引き起こす。そのため、肝臓に限局した放射線治療と免疫療法の併用は、全身性の抗腫瘍免疫を促進する可能性がある。

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