Review Article

腫瘍生物学:転移性がんを標的とする

Nature Medicine 27, 1 doi: 10.1038/s41591-020-01195-4

がんの治療法に見られる最近の進歩にもかかわらず、転移はがんによる死亡の主要な原因であり続けている。最近の研究で、転移を開始する細胞の独特な生物学的性質が明らかになってきた。こうした性質が、遠位臓器での腫瘍増殖、免疫監視の回避や転移性微小環境の乗っ取りを引き起こすことになる。本稿では、ミクロ転移とマクロ転移の両方の治療の進歩を可能にしている最近の研究の進展について概説する。このような知見は、がんの塩基配列解読、機構的研究、免疫療法などの臨床試験から得られた。こうした研究によって、転移の起源と性質の両方が明らかにされ、転移再発を標的として患者の転帰を改善するためのより効果的な戦略を開発する新たな機会が見いだされている。

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