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腸内微生物相:インターロイキン22を介した宿主のグリコシル化は腸内微生物相の代謝活性を変化させることによってClostridioides difficile感染を防ぐ

Nature Medicine 26, 4 doi: 10.1038/s41591-020-0764-0

Clostridioides difficile感染(CDI)に対する腸内微生物相を介した定着抵抗性における宿主免疫の関与は、完全には理解されていない。今回我々は、腸内微生物相の定着によって誘導されるインターロイキン22(IL-22)が、ヒト微生物相定着(HMA)マウスでのCDIの防御に極めて重要であることを示した。HMAマウスでのIL-22シグナル伝達は宿主のグリコシル化を調節し、これが腸内微生物相中のコハク酸を消費する細菌であるPhascolarctobacterium属の増殖を可能にする。Phascolarctobacteriumは、C. difficileの増殖に不可欠の腸管中コハク酸の可用性を低下させ、それによってC. difficileの増殖を防いだ。IL-22が仲介する宿主のN-グリコシル化は、潰瘍性大腸炎(UC)患者で障害されている可能性があり、UC-HMAマウスのCDI易感受性に寄与する。健常者由来の微生物相もしくはPhascolarctobacteriumの移植は、UC-HMAマウスで腸管中のコハク酸レベルを低下させ、定着抵抗性を回復させた。従って、IL-22を介した宿主のグリコシル化は、栄養ニッチをC. difficileと競合する共生細菌の増殖を促進する。

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