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結核:低い伝播状況下での偶発的結核に対する個別化されたリスク予測因子の発見と検証

Nature Medicine 26, 12 doi: 10.1038/s41591-020-1076-0

潜在性結核菌感染症(LTBI)患者の結核(TB)を発症するリスクはさまざまだが、個々の感染者の発病リスクの検証された推定値はない。20か国から系統的に同定された18のコホート研究(LTBIの検査を受けた8万468人が含まれる)からのプールされたデータでは、未治療LTBI患者間での5年累積TB発病リスクは、小児接触者間で15.6%[95%信頼区間(CI)、8.0~29.2%]、成人接触者間で4.8%(95%CI、3.0~7.7%)、移住者間で5.0%(95%CI、1.6~14.5%)、免疫不全集団で4.8%(95%CI、1.5~14.3%)であった。我々は、各リスクグループ内での発病リスク推定値が大きくばらつき、リスクを層別化するための個別化した手法が必要であることを確認した。そこで我々は、偶発的TBのための個別化したリスク予測因子(PERISKOPE-TB)を開発した。これはT細胞感作の定量的な測定値と臨床的な共変量を組み合わせたものである。このモデルの内部–外部の交叉検証によって、偶発的TBについてのランダム効果モデルのメタアナリシスC統計量が0.88(95%CI、0.82~0.93)であることが示された。意思決定曲線分析では、このモデルによって、LTBI患者を全て治療する場合、あるいは全く治療しない場合と比べて、標的を選んで予防的治療を行うことの臨床的有用性が実証された。世界的な結核根絶前段階を目指す状況下で、我々はLTBI患者のTBリスク予測に対する現在の粗雑な手法に異議を申し立て、根拠に基づき、患者を中心とする我々の方法を選ぶことを提案する。

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