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医学:ストレス–グルココルチコイド–TSC22D3経路は治療によって誘導される抗腫瘍免疫を抑制する

Nature Medicine 25, 9 doi: 10.1038/s41591-019-0566-4

精神的苦痛は、がんの発生や死亡に影響を及ぼすのではないかとずっと考えられてきた。ストレスが、抗がん治療の効果に影響するのかどうか、またどのように影響するのかについてはほとんど明らかにされていない。我々は、マウスで社会的敗北が不安様行動を引き起こし、発がん物質によって誘発される腫瘍形成や移植可能な腫瘍に対する治療応答を低下させることを観察した。ストレスは血漿中のコルチコステロンを増加させ、グルココルチコイド誘導性因子であるTsc22d3の発現を上昇させて、樹状細胞(DC)やIFN-γ陽性T細胞の活性化の際の1型IFN応答を阻害した。同様に、がん患者では血漿中コルチゾールレベル、循環中白血球でのTSC22D3発現と抑うつ気分の間に密接な相関が認められた。マウスモデルでは、外因性グルココルチコイドの注射、あるいはDCでのTsc22d3の強制的発現だけで、腫瘍の治療制御が崩壊した。グルココルチコイド受容体のアンタゴニストの投与、もしくはDC特異的Tsc22d3欠損によって、ストレスやグルココルチコイド補充が治療転帰に及ぼす負の影響が解消した。従って、これらの結果は、ストレスによって誘導されるグルココルチコイドの急激な増加とTsc22d3の発現上昇が、治療によって誘導される抗がん性免疫監視を妨害し得ることを示している。

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