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がん治療:低親和性CD19 CAR治療を受けたALL小児患者で見られたCAR T細胞の増殖促進と持続期間の延長

Nature Medicine 25, 9 doi: 10.1038/s41591-019-0549-5

CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞は、再発・難治性急性リンパ芽球性白血病(ALL)で並外れて高い応答を示すものの、サイトカイン放出症候群(CRS)や神経毒性などの毒性のためにより広範な応用が制限されている。さらに、CAR T細胞の持続性が不良なことやCD19クローンの出現によって、患者の40〜60%が再発する。単鎖スペーサー、細胞外ドメインや共刺激ドメインの選択などのいくつかの要因は、CAR T細胞の機能や持続性に大きな影響を与える。しかし、CARの結合親和性の影響についてはほとんど明らかにされていない。免疫受容体の親和性がある上限を超えるとT細胞応答に不利な影響を与える可能性があることを示す証拠が得られている。我々は、多くの臨床研究で使われてきた高親和性の結合体であるFMC63よりも親和性の低い、新規のCD19 CAR(CAT)を作出した。CAT CAR T細胞でin vitroで増殖や細胞傷害性が増大し、FMC63 CAR T細胞に比べて増殖能やin vivoでの抗腫瘍活性が増強された。臨床研究の1つ(CARPALL, NCT02443831)では、CAT CAR T細胞による治療を受けた再発・難治性小児B細胞急性リンパ芽球性白血病患者14名中の12名が分子レベルでの寛解に達した。最後の経過観察では14名中11名で持続性が明らかになり、公表されているデータと比較してCAR T細胞の増殖も増強されていた。毒性は低く、重度のCRSは認められなかった。一年全生存率および無イベント生存率はそれぞれ63%と46%であった。

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