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がん治療:PD-1阻害に続いて起こった腫瘍特異的T細胞のクローン置換

Nature Medicine 25, 8 doi: 10.1038/s41591-019-0522-3

T細胞上の抑制性チェックポイント受容体を阻害する免疫療法は、がん患者の臨床ケアを大きく変化させた。しかし、チェックポイント阻害に対するT細胞応答が、既存の腫瘍浸潤リンパ球の再活性化に依存するのか、それとも新規なT細胞の動員に依存するのかは明らかになっていない。今回我々は、基底細胞がんもしくは扁平上皮がん患者のマッチする部位の腫瘍から抗PD-1治療前および治療後に得られた7万9046個の細胞について、単一細胞RNAとT細胞受容体の塩基配列解読のペア解析を行った。T細胞受容体クローンと転写表現型の追跡から、腫瘍認識、クローン増殖、およびCD8+CD39+ T細胞(慢性的なT細胞活性化および疲弊のマーカーを共に発現している)のクローン増殖によって特徴付けられるT細胞機能不全のカップリングが明らかになった。しかしT細胞クローンの増殖は、既存の腫瘍浸潤Tリンパ球に由来するものではなく、増殖したクローンは、同じ腫瘍ではそれまで見られなかった新規なクロノタイプで構成されていた。T細胞のクローン置換は、疲弊CD8+ T細胞に選択的に認められ、基底細胞がんもしくは扁平上皮がんの患者で明らかであった。これらの結果は、既存の腫瘍特異的T細胞は再活性化能力に限りがあると考えられること、またチェックポイント阻害に対するT細胞応答は、その腫瘍に最近侵入したばかりと思われるT細胞クローンの異なるレパートリーに由来することを明らかにしている。

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