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がん:G9a/DNMTネットワークの阻害は免疫を介した膀胱がんの退縮を誘導する

Nature Medicine 25, 7 doi: 10.1038/s41591-019-0499-y

膀胱がんは、進行した筋層浸潤段階では致死的であり、治療法はほとんど進歩していない。最近行われた分子レベルでの詳しい解析によって、膀胱がんの新規な(エピ)ジェネティックドライバーと標的候補が明らかになっている。免疫チェックポイント阻害剤は、限られた一部の膀胱がん患者でだけ著効を示してきた。今回我々は、膀胱がんではG9aEHMT2)の高発現が臨床転帰不良と関連すること、そしてG9a/DNMTメチルトランスフェラーゼを新規阻害剤(CM-272)の標的とすると、アポトーシスと免疫応答を惹起する細胞死(ICD)が誘導されることを示す。我々は、侵襲的で転移性の筋層浸潤膀胱がんのモデルである、免疫能が正常な四重ノックアウト(PtenloxP/loxP; Trp53loxP/loxP; Rb1loxP/loxP; Rbl1−/−)トランスジェニックマウスを用いて、CM-272+シスプラチンの投与が定着腫瘍と転移腫瘍の統計的に有意な退縮を引き起こすことを実証した。抗腫瘍効果は、CM-272を抗PD-L1(anti-programmed cell death ligand 1)と併用すると、シスプラチンがなくても、大幅に向上した。このような効果は、内在性の抗腫瘍免疫応答と免疫応答惹起性の細胞死(免疫療法に応答しない腫瘍から応答性の腫瘍への転換によって起こる)と関連している。また、G9a発現の増加は、膀胱がん患者のコホートでPD-1(programmed cell death protein 1)の阻害に対する抵抗性と関連していた。まとめると、これらの知見はエピジェネティック阻害剤と免疫チェックポイント阻害剤の併用という膀胱がんの新規で有望な治療方法の効果を裏付けるものといえる。

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