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がん治療/免疫療法:遺伝子融合から得られた免疫原性ネオアンチゲンはT細胞応答を刺激する

Nature Medicine 25, 5 doi: 10.1038/s41591-019-0434-2

抗腫瘍免疫は、自己と非自己の識別によって誘導される。がん免疫療法の多くは、体細胞変異に由来する腫瘍ネオアンチゲンを利用している。本論文では、遺伝子融合が免疫療法に対する応答を媒介できる免疫原性ネオアンチゲンの供給源であることを示す。我々は、転移性頭頸部がん患者で、変異負荷が低く、また腫瘍への治療前免疫浸潤がごく少なかったにもかかわらず、チェックポイント阻害療法に対して完全奏功を示した例外的な奏功例を特定した。全ゲノム塩基配列解読およびRNA塩基配列解読によって、我々は新規な遺伝子融合を見つけ出し、それが宿主の細胞傷害性T細胞応答を特異的に誘導できるネオアンチゲンを産生することを実証した。腫瘍負荷が低く、免疫浸潤が極めて少なく、遺伝子融合が広く見られる頭頸部がん患者のコホートでも、遺伝子融合に由来し、細胞傷害性T細胞応答を生じさせるネオアンチゲンが見つかった。また、チェックポイント阻害剤を投与された腫瘍など、遺伝子融合が陽性であるがんのデータセットの追加解析から、免疫監視によって遺伝子融合に由来するネオアンチゲンに対する負の選択圧が生じることの証拠が得られた。これらの知見は、腫瘍特異的抗原の重要なクラスを明らかにしており、変異負荷が低く免疫浸潤が非常に少ないがんなど、通常は免疫療法に対する応答が低い状態にとどまっているがんで遺伝子融合事象を標的にすることと関わってくる。

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