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遺伝子治療:デュシェンヌ型筋ジストロフィーでのAAV-CRISPRゲノム編集の長期的評価

Nature Medicine 25, 3 doi: 10.1038/s41591-019-0344-3

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は単一遺伝子疾患であり、治療目的でのゲノム編集の対象候補と考えられている。デュシェンヌ型筋ジストロフィーの前臨床モデルで行われたゲノム編集については、最近いくつかの報告がなされているものの、このようなゲノム編集治療の長期的持続性や安全性については調べられていない。今回我々は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーのmdxマウスモデルで、CRISPRをコードするアデノ随伴ウイルス(AAV-CRISPR)の静脈内単回投与後に、ゲノム編集とジストロフィンタンパク質の回復が1年間にわたって維持されたことを示す。また、AAV-CRISPRは成体マウスに投与した場合に免疫原性を示すが、新生仔マウスへの投与であれば液性免疫応答と細胞性免疫応答を回避できることも明らかになった。また、AAV-CRISPRによりゲノムや転写産物に意図しない変化が誘発されたことは、治療法としてのAAV-CRISPRを開発する上で考慮しなくてはならない問題である。本研究は、恒久的なゲノム修正へのAAV-CRISPRの使用可能性を示すとともに、宿主応答や目的とは異なるゲノム編集結果といった、さらなる研究が必要な問題も明らかにしている。

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