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実際的な選択

Nature Medicine 25, 2 doi: 10.1038/s41591-019-0351-4

ここ数年、健康のために微生物を摂取するというアイデアが勢いを増してきている。ドラッグストアでも食料品店でも、プロバイオティクスと呼ばれる有用菌が入ったカプセルなどが売られていて、健康な腸から乾燥肌まで、全ての症状に効果があると盛んに宣伝されている。このような栄養補助用に販売されているプロバイオティックサプリメントについては、製品の売り上げが世界規模で拡大しつつある。だが、腸内の健康回復を目的とするプロバイオティクス投与に関しては、多数の研究があるものの、決定的な結果はまだ見いだされていない。一方、腸に臨床的問題を抱えた患者では、糞便微生物相移植(FMT)という方法が使われることがあり、一部の疾患では有効性が確かめられていて臨床試験が継続されているが、移植材料の標準化など、問題が多く、まだFDAによる承認には至っていない。このような解決までにかなりの時間がかかりそうな問題があることで、一部の製薬会社は、個々人の症状に合わせて慎重に選択・調製した細菌種混合物を含むオーダーメイド・ピルが、マイクロバイオームをベースとした治療薬を市場に出すカギになると考え始めている。

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