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がん治療:RAF阻害剤PLX8394はBRAF二量体とRASに非依存的でBRAF変異によって駆動されるシグナル伝達を選択的に阻害する

Nature Medicine 25, 2 doi: 10.1038/s41591-018-0274-5

BRAFを活性化する変異や遺伝子融合は、RAS非依存的で構成性に活性化されている二量体としてシグナル伝達を行うが、BRAF V600変異対立遺伝子はその例外であって、活性型単量体として機能する。現在使われているRAF阻害剤は単量体選択的であって、BRAF V600単量体を強力に阻害するが、RAF二量体の阻害は限定的であり、それは阻害剤が二量体の1つの部位に結合した場合に、負の協同性が誘導されるからである。また、これらの薬剤への獲得抵抗性は一般に分子的損傷によるものであり、これによってV600変異体が二量体化する。今回我々は、新規のRAF阻害剤PLX8394が、BRAF含有二量体(BRAFホモ二量体やBRAF–CRAFヘテロ二量体が含まれるが、CRAFホモ二量体やARAFを含む二量体は含まれない)を特異的に破壊してERKシグナル伝達を阻害することを示す。RAFアイソフォームのキナーゼドメインのアミノ(N)末端領域中のアミノ酸残基の違いが、この脆弱性の違いを生み出している。PLX8394は、BRAF特異的な二量体破壊薬として働き、二量体となったBRAF変異体(BRAFの融合体やスプライシングバリアントに加えて、BRAF V600単量体も含まれる)により駆動される腫瘍でERKシグナル伝達を選択的に阻害するが、CRAFホモ二量体がシグナル伝達を行う正常細胞でのRAF機能には影響しない。我々の研究から、このような特性を持つ薬剤は、BRAFを活性化する変異や遺伝子融合により駆動される腫瘍の治療に安全かつ有益であろうと考えられる。

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