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がん:選択的BCL-XL PROTACは分解剤として安全で強力な抗腫瘍活性を発揮する

Nature Medicine 25, 12 doi: 10.1038/s41591-019-0668-z

BCL-XL(B-cell lymphoma extra large)は、十分に検証されたがん標的である。しかし、オンターゲットで用量制限が必要な血小板減少症が見られると、ABT263のようなBCL-XL阻害剤の安全で効果的な抗がん剤としての利用が制限される。ABT263の毒性を低下させるために、我々はABT263をDT2216に変換した。DT2216は、BCL-XLのPROTAC(proteolysis-targeting chimera)であって、BCL-XLをフォンヒッペル・リンドウ(VHL)E3リガーゼの標的として分解させる。我々は、DT2216がin vitroでさまざまなBCL-XL依存性の白血病やがん細胞に対してはより強力な効果を発揮するが、血小板に対する毒性はABT263よりもかなり低いことを見いだした。これはVHLは血小板での発現が少ないためである。In vivoでは、DT2216は単剤として使用した場合、もしくは他の化学療法剤と併用した場合には、複数の異種移植腫瘍の増殖を効率よく阻害するが、はっきり分かるような血小板減少症を引き起こすことはない。これらの知見は、オンターゲット薬剤毒性を低下させるためにPROTACという手法が使える可能性を実証しており、またこれまで薬剤開発につながらなかった標的の治療可能性を復活させるものだ。また、DT2216はBCL-XLを標的とする安全な画期的抗がん剤として開発される可能性がある。

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