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白血病:IDH2阻害剤エナシデニブを投与した急性骨髄性白血病のクローン不均一性

Nature Medicine 24, 8 doi: 10.1038/s41591-018-0115-6

イソクエン酸デヒドロゲナーゼ2をコードする遺伝子(IDH2)の変異は、急性骨髄性白血病(AML)などの複数のタイプのがんで見られる。モデル系では、変異型IDH2は造血系分化の停止を引き起こす。変異型IDH2に選択的に働く小分子阻害剤であるエナシデニブは、投与を受けた再発性AMLおよび難治性AML患者の40%で、白血病細胞の分化を促進することにより臨床応答を生じる。今回我々は、エナシデニブ投与に対する応答のクローン的基盤と抵抗性獲得について調べた。まず、継続的にサンプリングを行った患者試料を用い、さまざまな分化段階にある造血細胞集団のクローン構造を決定した。治療前は、変異型IDH2のクローンはさまざまな分化停止状態にあった。エナシデニブ投与は、最終段階と途中段階の変異クローンのどちらについても造血系分化を促進し、それより頻度は低いが、非変異細胞の分化も促進した。対をなす診断/再発試料の解析では、再発の際にIDH2の二次変異部位は見つからなかった。再発はクローンの進化、あるいは最終段階もしくは途中段階のクローンの選択により生じており、複数のバイパス経路が明確になった。こうした経路は、分化停止を修復するための標的となるかもしれない。これらの結果は、異なる分化段階にある細胞集団のクローン構造のマッピングが、治療応答と再発の際のクローンの応答と進化を明らかにし得る仕組みを示している。

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