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骨粗鬆症:骨格内皮細胞を標的として骨量減少を軽減する

Nature Medicine 24, 6 doi: 10.1038/s41591-018-0020-z

CD31hiendomucinhi(CD31hiEMCNhi)血管内皮細胞の、骨形成を正に調節する特殊化したサブセットが最近見つかった。しかし、CD31hiEMCNhi内皮細胞のレベルが同化的な骨形成に結び付く仕組みはまだ明らかにされていない。骨芽細胞特異的にShn3を欠失し、骨形成が顕著に上昇しているマウスでは、CD31hiEMCNhi内皮細胞が増加していることが明らかになった。トランスクリプトーム解析から、SLIT3が骨芽細胞に由来し、SHN3で調節される血管新生促進因子であることが突き止められた。Slit3を遺伝学的手法によって欠失させると、骨格骨のCD31hiEMCNhi内皮細胞が減少し、骨形成が障害されるために骨量が減少し、Shn3−/−マウスで見られる骨量増加は部分的に抑えられた。SLIT3に変異が生じたマウスでは骨折回復が起こらず、SHN3に変異が生じたマウスでは骨折回復が促進されることから明らかなように、骨芽細胞とCD31hiEMCNhi内皮細胞とのこのような結び付きは骨治癒に必須である。また、閉経後骨粗鬆症のマウスモデルに組換えSLIT3を投与すると、骨折回復が促進され、骨量減少が抑えられた。従って、SLIT3経路を標的とする薬剤は、骨量減少に対処するための血管を標的とした骨同化療法の新たな手法となるかもしれない。

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