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がん:症候性および無症候性骨髄腫における形質細胞の不均一性の単一細胞解析

Nature Medicine 24, 12 doi: 10.1038/s41591-018-0269-2

多発性骨髄腫は形質細胞性悪性腫瘍の1つで、血液のがんとしては2番目に多い。多くの研究にもかかわらず、この疾患の不均一性の特徴の解明は十分ではなく、それが早期の診断や治療法の改良を妨げている。今回我々は、40人の被験者(11人の健常者を含む)で単一細胞RNA塩基配列解読法を用いて、多発性骨髄腫のプログレッションの過程での不均一性を調べ、個人間での大きなばらつきを明らかにした。このばらつきは、既知の多発性骨髄腫ドライバーと他の補助的因子候補の発現によって説明し得ることが分かった。また、29人の多発性骨髄腫患者のうちの10人で、大規模なサブクローン構造を明らかにした。無症候性の患者(がんが早期であるか、治療後で微小な残存病変だけが見られる場合)では、活発な骨髄腫で見られる形質細胞と似た分子的特性を持つまれな腫瘍形質細胞が検出された。この細胞は個別化治療と関わってくる可能性がある。循環血中のまれな腫瘍細胞についての単一細胞解析は、骨髄疾患であることを示す精密な液体生検や悪性形質細胞の検出に備えるものとなる。我々の研究は、症候性および無症候性の患者での血液悪性腫瘍の解析と腫瘍細胞の詳細な分子的特徴付けに単一細胞RNA塩基配列解読が使えることを確証している。

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