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白血病:ベネトクラックスとアザシチジンの併用は急性骨髄性白血病患者で白血病幹細胞を標的としてそのエネルギー代謝の崩壊を引き起こす

Nature Medicine 24, 12 doi: 10.1038/s41591-018-0233-1

急性骨髄性白血病(AML)は成人で最もよく見られる急性白血病である。白血病幹細胞(LSC)はAMLの発症と持続を促進し、その量は臨床転帰の悪化と関連していて、一般的な化学療法の後にも存続することが多く、それが再発につながる。本論文では、高齢AML患者にBCL-2(B cell lymphoma 2)の阻害剤ベネトクラックスとアザシチジンを組み合わせて投与すると完全寛解が持続するようになること、つまりこの併用は従来の治療法より優れていることを示す。我々は、臨床でのこの有望な結果はLSCが標的となったためだと考えた。ベネトクラックスとアザシチジンの併用療法を受けた患者由来のLSCの解析から、トリカルボン酸(TCA)回路の崩壊(αケトグルタル酸レベルの低下とコハク酸レベルの上昇によって示された)が起こったことが明らかになり、これは電子伝達系複合体IIの阻害を示唆している。in vitroモデルの作製によって、複合体IIの阻害がコハク酸デヒドロゲナーゼのグルタチオン化の低下によって確認された。代謝へのこのような影響は酸化的リン酸化(OXPHOS)を抑制するもので、この影響はLSCを効率的かつ選択的に標的としている。我々の知見は、治療介入によってエネルギー代謝を駆動する代謝装置を崩壊させてAML患者のLSCを根絶できることを示しており、従来から転帰不良とされている患者集団に対して臨床的に有望な治療法が得られた初めての結果である。

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