Letter

神経損傷治療:ワイヤレスで生体吸収性の電子回路系により可能になった持続的な非薬理学的神経変性疾患治療

Nature Medicine 24, 12 doi: 10.1038/s41591-018-0196-2

末梢神経の損傷は公衆衛生における重大な問題で、全外傷症例の2~5%を占める。重度の神経損傷では、先進的な手法による臨床的介入でも十分な運動機能や感覚機能にはつながらないことが多い。齧歯類モデルで神経再生を加速し増強するには、薬理学的手法(増殖因子や免疫抑制剤など)が使える可能性が多くの研究で報告されている。しかし、臨床診療で有益な効果があったものはほとんどない。修復部位に近い被損傷神経組織を手術中に直接電気刺激すると、機能回復が向上し、回復速度が速められることが実証されているので、非薬理学的で生体電気を用いる新規治療法ならば既存の外科的手法を補完できる可能性がある。このような技術では、既存のプロトコルが術中での使用に制限されていて、治療効果が限定的であるという重大な限界がある。我々は、(i)電気的末梢神経刺激のための完全に生体吸収性かつ生体適合性である回路要素と回路基盤を集めた、ワイヤレスでプログラム可能なプラットフォームの構築、(ii)齧歯類モデルで被損傷神経組織の電気刺激を複数回繰り返した結果、神経再生や機能回復の増強が初めて実証されたことについて、報告する。

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