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再び注目の的となったHTLV-1

Nature Medicine 24, 11 doi: 10.1038/s41591-018-0245-x

ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は、ヒトで初めて見つかった病原性レトロウイルスである。1970年代から盛んに研究が行われ、成人T細胞白血病(ATL)の原因であることが明らかになったが、HIVの発見以降、話題に上ることが少なくなった。HTLV-1は主に日本やカリブ海諸国、南米、サハラ以南アフリカ、オーストラリアのへき地に局在していて、感染者は現在、全世界で500万~1000万人とされている。ATLには主に化学療法が使われているが、いまだに有効な治療法がなく、HTLV-I感染に関連する脊髄症や気管支拡張症のための治療薬もまだない。だが、HIV感染に使われるものに類似の抗レトロウイルス薬の開発に期待がかけられており、新規な治療薬の中には臨床試験に進んだものもある。治療薬の市場規模が小さいこともあって、長い間顧みられなかったこのウイルス関連疾患の治療法と感染予防薬の開発は、喫緊の課題として現在再びスポットライトを浴びようとしている。

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