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嚢胞性繊維症:構造情報を指針とする併用療法は変異型CFTRの機能を強力に改善する

Nature Medicine 24, 11 doi: 10.1038/s41591-018-0200-x

細胞膜アニオンチャネルのCFTR(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)の最もよく見られる病原性変異であるCFTR-ΔF508(別名CFTR-F508del)は、タンパク質の折りたたみ異常を引き起こす。タンパク質構造を修正するための現在利用可能な薬剤では、効率の良い修復ができないため、嚢胞性繊維症(CF)の臨床表現型を十分に軽減できない。今回我々は、この修正効率の上限を乗り越える目的で研究を行い、CFTR中の異なる構造異常を標的とする複数の化合物が相乗的に働いて、細胞膜での変異型の発現と機能を救済できることを明らかにした。細胞を用いたハイスループットスクリーニングと機構解析から、3種類の小分子群が見つかった。これらはそれぞれ、ヌクレオチド結合ドメイン1(nucleotide-binding domain 1;NBD1)、NBD2、およびそれらと膜貫通ドメイン(membrane-spanning domain;MSD)との境界に位置する異常を標的とする。これらの化合物は、単独ではΔF508-CFTRの折りたたみ効率や機能、安定性をわずかに改善するだけだが、組み合わせて使用すると、不死化ヒト気道上皮や初代培養ヒト気道上皮、マウス鼻上皮で野生型レベルの50~100%に至る構造修正が引き起こされる。構造修正剤の併用は、さまざまなCFTRドメインに生じるまれなミスセンス変異に対しても同様に効果的であって、これらは構造的アロステリーを介して作用している可能性があり、幅広い適用に対する機構的枠組みが考えられる。

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