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がん治療:肉眼的進行度がステージIIIの黒色腫でのイピリムマブ+ニボルマブのネオアジュバント投与とアジュバント投与の比較

Nature Medicine 24, 11 doi: 10.1038/s41591-018-0198-0

イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)とニボルマブ(抗PD-1抗体)は、ステージIIIの黒色腫患者でアジュバント療法として投与された場合は、共に無再発生存期間を改善する。ステージIVの黒色腫では、イピリムマブ+ニボルマブの併用は、イピリムマブ単剤療法よりも優れており、ニボルマブ単剤療法と比べても効果が高いように見える。前臨床試験では、チェックポイント阻害剤はネオアジュバント療法として使った方が、アジュバント療法とした場合よりも優れている可能性が示唆されている。この問題に取り組み、実行可能性を調べるために、腫瘤が触知できるステージIII黒色腫の患者20人を無作為に1:1に分けて、イピリムマブ3 mg/kgおよびニボルマブ1 mg/kgを術後4コース(アジュバント療法群)、もしくは術前2コースと術後2コース(ネオアジュバント療法群)投与する治療を行った。ネオアジュバント療法は実行可能であり、全ての患者があらかじめ計画していた時点で手術を受けた。しかし、いずれの群においても10人中9人の患者がグレード3/4の副作用を1回以上経験した。病理学的応答は、ネオアジュバント療法群では9人中7人(78%)で得られた。患者の中で再発はこれまでに見られていない(平均経過観察期間は25.6か月)。イピリムマブ+ニボルマブのネオアジュバント療法では、アジュバント療法の場合よりも、腫瘍常在性T細胞クローンのより盛んな増殖が見られた。ネオアジュバント療法は有望に見えるが、現行の治療計画では高い割合で毒性が認められた。従って、ネオアジュバント併用療法で有効性を維持しながら毒性を低下させるためのさらなる検討が必要である。

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