Letter

てんかん:BRAF体細胞変異は小児脳腫瘍で見られる内因性のてんかん発症の一因である

Nature Medicine 24, 11 doi: 10.1038/s41591-018-0172-x

小児脳腫瘍は、てんかん発作と強い関連がある。しかし、このようなてんかんの誘発機構はまだ不明である。今回我々は、発生中のニューロンにおけるBRAFの発がん性体細胞変異p.Val600Glu(V600E)が、神経節膠腫での内因性てんかん発症の基盤であり、難治性てんかんの主要因の1つとなっていることを示す。我々はまず、脳の初期発生中にBRAFV600Eが存在するマウスモデルを開発し、最も多いこの変異に加えて、その起源となる細胞や変異のタイミングも再現した。このモデルでは、脳発生中の前駆細胞に生じたBRAFV600E変異は、ニューロン系統の細胞での内因性てんかん発症の特徴の獲得につながり、腫瘍形成を促す性質は、グリア系統の細胞の高い増殖性に起因していた。この変異を持つ患者脳組織のRNA塩基配列解読解析からは、BRAFV600Eによって誘発されるてんかん発生は、REST(RE1-silencing transcription factor)によって仲介されることが明らかになった。RESTは、てんかんに関連するイオンチャネルや神経伝達物質受容体の調節因子である。さらに、マウスでの発作は、FDA承認済みのBRAFV600E阻害剤ベムラフェニブや、Restのさまざまな遺伝学的阻害によって大幅に軽減された。以上から、今回の研究はBRAFの体細胞変異が小児脳腫瘍における内因性のてんかん発症の一因となっていることの直接的な証拠を示すもので、BRAFとRESTが難治性てんかんの治療標的となる可能性を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度