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ALS:iPSC由来運動ニューロンを用いた孤発性ALSモデル作製により見つかった有望な治療薬

Nature Medicine 24, 10 doi: 10.1038/s41591-018-0140-5

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は不均一な運動ニューロン病で、SOD1変異型家族性ALS(FALS)の研究が数十年にわたって行われているにもかかわらず、有効な治療法がない。ALS患者の大部分には家族歴がないため、孤発性ALS(SALS)のモデル化はALSの治療法の開発に不可欠である。しかし、ALSの発症機序と関連した変異はいまだに特定されておらず、SALSの有用なモデルの確立は難問となっている。本論文では、誘導多能性幹細胞(iPSC)技術を用いて、患者の完全な遺伝情報を保有する幹細胞や分化細胞を作り出すことにより、SALSのin vitro細胞モデルを多数確立した。これらのモデルはさまざまな例において、神経変性のパターン、異常タンパク質凝集のタイプ、細胞死の機構、およびこれらの表現型の開始や進行速度にin vitroで差異が見られた。そのため、in vitroでの特性によってこれらの不均一なSALSモデルをさらに分類できる、症例クラスタリングのためのシステムを開発した。我々はさらに、非SOD1 FALSモデルで選択された薬剤を用いて、いくつかのサブグループに分類されたSALSモデルの複数の表現型の回復を評価し、ロピニロールが有望な候補治療薬であることを突き止めた。この研究で獲得したデータセットの統合により、さまざまなSALSモデルに共有される分子病理を視覚化することが可能になった。

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