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乳がん:染色体1q21.3増幅は乳がん再発の追跡可能なバイオマーカーで、標的としても使用できる

Nature Medicine 23, 11 doi: 10.1038/nm.4405

腫瘍の再発は依然として、乳がん関連死の主要な原因となっているが、再発リスクが高い乳がん患者で有用となる新規バイオマーカーの発見や治療方法の開発という臨床的必要事項はいまだに満たされていない。我々は、腫瘍開始細胞(TIC)の特徴を持つ乳がん細胞亜集団に1q21.3での染色体コピー数増幅が集中的に見られることを突き止め、これが乳がんの再発と強く関連していることを明らかにした。この増幅は、乳がんのサブタイプとは関係なく、原発性腫瘍の約10~30%に、また再発腫瘍では70%以上に検出される。血液から得られた無細胞DNA(cfDNA)でのこの増幅の検出は、乳がん患者の早期再発と強く関連していて、またこれは腫瘍の化学療法抵抗性の出現の追跡にも使うことができた。さらに、1q21.3にコードされるS100カルシウム結合タンパク質(S100A)ファミリーのメンバー〔主にS100A7、S100A8、S100A9(S100A7/8/9)〕と、IRAK1(IL-1 receptor-associated kinase 1)は、腫瘍様塊の増殖を促進する双方向性のフィードバックループを確立していることが分かった。この機能回路は小分子のキナーゼ阻害剤パクリチニブによって破壊でき、破壊は1q21.3増幅が見られる乳がんでの増殖の選択的障害につながった。我々の研究は、1q21.3が誘導するS100A7/8/9–IRAK1フィードバックループが乳がん再発の非常に重要な構成要素であって、乳がんの追跡可能なバイオマーカーとなるだけでなく、使用可能な治療標的であることを明らかにしている。

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