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筋再生:老化幹細胞ニッチからのフィブロネクチンの消失はマウスで骨格筋の再生能に影響する

Nature Medicine 22, 8 doi: 10.1038/nm.4126

老化に伴ってニッチで起こる変化は、体性幹細胞の機能を障害するとずっと考えられてきた。今回我々は、骨格筋の老化した幹細胞ニッチではフィブロネクチン(FN)のレベルが大幅に低下しており、これが筋幹細胞(MuSC)の機能と維持に有害な結果をもたらすことを明らかにする。若い再生中の筋からFNをコードする遺伝子を欠失させると、老化表現型が再現され、MuSC数の減少につながる。細胞外マトリックス(ECM)ライブラリースクリーニングとパスウェイプロファイリングを用いて、我々はMuSCが選択的に結合する基質がFNであることを明らかにし、老化マウス由来のMuSCでは、ニッチへの接着が不十分なために、フォーカルアドヒージョンキナーゼとp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ経路を介するインテグリン介在シグナル伝達の強い脱調節が起こることが分かった。老化ニッチでFNレベルを回復させると幹細胞が再動員され、若齢時に似た筋再生が回復する。まとめると、本研究はニッチECMで幹細胞のFN接着が失われることが、これはこれまで知られていなかった老化機序であることを明らかにしている。

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