Article

がん:免疫調節薬はセレブロン–CD147–MCT1軸を破壊して抗腫瘍活性と催奇形性をもたらす

Nature Medicine 22, 7 doi: 10.1038/nm.4128

サリドマイドやその誘導体のレナリドミド、ポマリドミドなどの免疫調節薬(IMiD)は、血液悪性腫瘍、特に多発性骨髄腫(MM)やdel(5q)骨髄異形成症候群(MDS)の重要な治療手段である。セレブロン(CRBN)はCRL4ユビキチンリガーゼ複合体の基質受容体で、IMiDが抗がん効果や催奇形性を仲介する際の主要な標的である。今回我々は、CRBNが持つユビキチン非依存性の生理的シャペロン様機能を明らかにし、これによってベイシジン(BSG、別名CD147)やSLC16A1(solute carrier family 16 member 1、別名MCT1)のタンパク質成熟が促進されることを示す。この過程によりCD147-MCT1膜貫通複合体の形成および活性化が可能になり、この複合体が血管新生、増殖、浸潤、乳酸の細胞外輸送などのさまざまな生物学的機能を促進する。IMiDは、CD147およびMCT1への結合に関してCRBNとの競合に打ち勝ち、これがCD147–MCT1複合体の不安定化につながることが分かった。従って、IMiD感受性のMM細胞は、IMiDに曝露された後にはCD147およびMCT1の発現が見られなくなるが、IMiD耐性細胞では、CD147およびMCT1の発現が維持される。さらに、del(5q) MDS細胞ではCD147発現が上昇しているが、これはIMiD投与後には減弱する。また、BSGCD147)ノックダウンは、ゼブラフィッシュのサリドマイド曝露で見られる催奇形的影響を表現型模写することが分かった。これらの知見は、IMiDの催奇形性と多面的な抗腫瘍的影響の両方を説明する一般的な機構的枠組みとなる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度